生成AIは動画広告をどう変えるか。これからのクリエイティブ制作

生成AIは、広告制作の現場で「特別な武器」から「前提」へと変わりました。コストとスピードを大きく変える一方、品質や権利の確認は人が担う必要があります。これからの差は「AIに何をさせ、人が何を担うか」で決まります。
- 生成AI広告の世界市場は2025→2030年で約3倍に成長する見通し
- 大手広告主の生成AI活用率は54%、広告業界の約9割が「AIネイティブ」
- サイバーエージェントは制作コスト最大50%、KDDIは工数約50%削減
- 3年後、動画広告は58%が「人よりAIが制作主体」になると予想
こんにちは。UGC Makerを運営する株式会社リスポの黍田です。
連載の最終回となる今回は、動画広告の制作をいま大きく変えつつある生成AIについて、市場の動きと実際の活用、そしてこれからの向き合い方をお話しさせていただきます。この1〜2年で、広告制作の前提は大きく書き換わりました。その変化の全体像を、できるだけ具体的に整理します。
AIで動画がつくれると聞くけれど、実際のところどこまで使えるのか、任せて大丈夫なのか。期待と不安の両方の声を耳にします。過度に身構える必要はありませんが、かといって何でもAIに任せれば成果が出るわけでもありません。
本記事では、生成AIが広告制作の現場をどう変えているのかをデータと事例で確認し、これから事業者がどう備えればよいかを、定性・定量の両面でご紹介します。
生成AIは「特別な武器」から「前提」へ
生成AIは、この数年で一気に普及しました。生成AIを活用した広告の世界市場は、2025年の33億7,000万米ドルから2026年には41億8,000万米ドルへ、さらに2030年には98億1,000万米ドルに達する見通しで、年率20%を超える成長が予測されています。わずか数年で市場規模が約3倍に膨らむ計算で、この勢いは、広告業界における生成AIの存在感の大きさを物語っています。

現場への浸透も急速です。広告関連の従事者を対象とした2026年の調査では、回答者の約9割が生成AIを日常的に使う「AIネイティブ」になっているとされ、もはや一部の先進的な担当者の特別な武器ではなく、仕事の前提になりつつあります。企画の切り口を考える、リサーチをまとめる、コピーのたたき台をつくる――こうした日々の業務に、生成AIが当たり前に組み込まれ始めているのです。
制作の現場で、いま起きていること
背景にあるのは、必要なクリエイティブの量が増え続けているという現実です。配信面が増え、ターゲットごとに最適な訴求を出し分けるようになった結果、求められる制作量は年々膨らんでいます。大手広告主100社への調査では、クリエイティブの制作物が「増えた」と答えた企業が約7割(69.0%)、とくに広告用動画では86%が「増えた」と回答しています。そして、クリエイティブ制作における生成AIの活用率は、すでに54%に達しています。増え続ける制作需要に人手だけで応えるのは難しく、その受け皿としてAIが急速に広がっている、という構図です。

効果も具体的に表れています。サイバーエージェントはAIによる制作体制の改革で制作コストを最大50%削減することを掲げ、KDDIは広告クリエイティブの生成AIシステムによって工数を約50%削減したと報じられています。第1回で触れた「1本数十万円・数週間」という制作の常識が、AIによって大きく崩れ始めているのです。
クリエイティブの中身でも、AIの活用は進んでいます。伊藤園やパルコは、AIで生成したモデル(AIタレント)をクリエイティブに起用し、撮影や契約の手間を抑えながら多様なパターンを素早く展開しています。出演者の手配やスケジュール調整という、これまで動画制作の大きな負担だった部分が、AIによって軽くなりつつあります。動画生成の領域でも、SoraやGoogleのVeo、RunwayのGenシリーズなど、商業利用に耐える品質のツールが次々に登場し、進化を続けています。
いまの実務で主流になりつつあるのは、AIがラフや初稿、バリエーションを高速で生み出し、人が方向性の判断と最終仕上げを担うという分業です。AIにゼロから完璧なものをつくらせるのではなく、量とスピードが必要な部分をAIに任せ、人は判断と品質管理に集中する。AIは「人の代わり」ではなく「人の手を空ける」存在として機能し始めています。
3年後、制作の主体はAIに? そのとき人の役割は
この流れは、さらに加速すると見られています。先の調査では、3年後のクリエイティブ制作について、SNS投稿動画・動画広告では58%、バナーなどの静止画では50%が「人よりAIが主体になっている」と予想しています。なかでも動画ほど、AI主体への期待が高いのが特徴です。動画は制作負担が大きいぶん、AIによる効率化のインパクトも大きいと見られているのでしょう。

ただし、AIに任せれば成果が出る、という単純な話ではありません。AIが生成したクリエイティブが実写と比べて購買意欲にどう影響するかを検証する実験も始まっており、効果は一様ではないことが分かってきています。AIで作ったから良い・悪いではなく、結局は「見る人の心を動かせるか」で評価される点は、これまでと変わりません。
リスクへの目配りも欠かせません。著作権・商標・肖像権の侵害、化粧品や健康食品などにおける薬機法などの表示規制、そしてAI特有の不自然さや誤った表現。これらは、AIが生成したからといって免責されるものではなく、最後に必ず人が確認する必要があります。第2回で触れた権利やコンプライアンスの論点は、AI時代にむしろ重要性を増していると言えます。
だからこそ、これからの差は「AIを使うかどうか」ではなく「AIに何をさせ、人が何を担うか」で決まります。誰に何をどう届けるかという企画、見る人の心を動かすストーリーテリング、そして成果で良し悪しを見極める目。AIが量とスピードを担うほど、この人にしかできない部分の価値はむしろ高まります。AIを使いこなしながら、人が判断と創造に集中できる事業者が、これから強くなっていくはずです。
最後に
全6回にわたり、動画広告が成果を出す時代の到来から、UGCの活用、内製化、勝てるクリエイティブの型、改善の運用、そして生成AIまでをお伝えしてきました。共通して言えるのは、動画広告が「つくって置いておくもの」から「データで改善し、回し続けるもの」へと大きく変わった、ということです。そして、その変化を支えるのが、生活者のリアルな声と、内製化、そしてAIという三つの力だと考えています。
とはいえ、AIを使いこなし、素材を確保し、量産と検証を回す体制を社内だけで立ち上げるのは、決して簡単ではありません。やるべきことは見えていても、人手とノウハウの壁で前に進めない、という事業者様は少なくないはずです。
弊社では、超リアルなAIキャストをはじめとする生成AIを活用し、画像1枚から動画クリエイティブの制作・運用までを支援するUGC Makerを提供しています。これからの制作の変化を味方につけるお手伝いができればと思います。連載を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
よくある質問
生成AIは広告制作でどれくらい使われていますか?
大手広告主の生成AI活用率は54%、広告業界の約9割が「AIネイティブ」とされ、すでに前提になりつつあります。生成AI広告の市場規模も2025年から2030年で約3倍に成長する見通しです。
AIに任せれば制作コストは下がりますか?
サイバーエージェントは制作コスト最大50%、KDDIは工数約50%の削減を掲げています。一方で、品質や著作権・薬機法などのチェックは最後に人が担う必要があります。
これから人の役割はどうなりますか?
企画・ストーリーテリング・成果の判断といった、人にしかできない部分に集中する形へと変わります。AIは「人の代わり」ではなく「人の手を空ける」存在です。差は「AIに何をさせ、人が何を担うか」で決まります。
AIで動画広告を始めるにはどうすればいいですか?
UGC Makerは、超リアルなAIキャストと画像1枚からの量産で、AI時代の動画制作を一気通貫で実現します。撮影・キャスティング・編集は不要で、すぐに始められます。
AI時代の動画制作なら、UGC Makerにおまかせください
「クリエイティブを、解き放て。」――これは、株式会社リスポが運営するAIクリエイティブプラットフォーム UGC Maker が掲げる言葉です。動画生成AIとLLMを統合した独自のエンジンで、本記事でお伝えしたAI時代の制作を、そのまま実現します。
お手持ちの画像1枚から、超リアルなAIキャストが話す動画広告をAIが量産。商品情報を入力すればスクリプトも自動生成され、BGM・テロップの付与まで自動で完結します。撮影・キャスティング・編集はいっさい不要、1本あたり約2,000円から、1日100本以上の量産が可能です。生成した動画はMeta・TikTok・YouTube広告にそのまま入稿でき、著作権はご利用企業に帰属します。
AIを味方につけて、これからの動画広告制作を一段先へ進めたいという方は、導入相談・資料ダウンロードからお気軽にどうぞ。貴社専用のデモ動画も無料で作成しています。全6回の連載を、最後までお読みいただきありがとうございました。
- The Business Research Company 生成AIを活用した広告市場(市場規模予測)|リンク
- サイバーエージェント 大手広告主のクリエイティブ制作における生成AI利用実態調査(2025年6月)|リンク
- メディアレーダー 2026年 生成AI活用実態レポート(広告業界の9割がAIネイティブ)|リンク
- アルサーガパートナーズ 動画生成AIが変えるクリエイターの役割(Sora/Veo/Runway)|リンク
- AIsmiley 広告業界のAI活用事例(伊藤園・パルコ ほか)|リンク
- ビデオリサーチ ひと研究所 AI画像広告は生活者に受け入れられるのか|リンク
※本記事の数値・事例は上記各社の公表資料に基づいています。市場規模は調査会社の予測値、図2・図3はサイバーエージェント/デジタルインファクト調査(大手広告主100社)に基づき作成しています。掲載にあたっては最新の一次情報をご確認ください。

2001年生まれ、鹿児島県出身。高校卒業後、海外へ。帰国後は慶應義塾大学に入学。スタートアップでデザイナー・新規事業開発を担い、グラフィックデザインからWeb・UI/UXまで幅広く手がけながら、クライアント開拓営業やマーケティングにも従事。その後、2つの事業を立ち上げ、大学在学中の2021年5月に株式会社リスポを創業。これまでのデザイン経験を基に、動画生成AIとLLMを統合した独自のクリエイティブエンジンと制作ワークフローを開発し、AIクリエイティブプラットフォームUGC Makerをローンチ。